第1回インタビュー : 工房彩家 古田光さん

「いろんなことにチャレンジし、やりたい方向に広げていっています。」

安達美由紀(以下、安達):今の仕事の現状について聞かせてください。

古田光さん(以下、光さん):仕事って言う枠に限らず、自分を広げていくっていうことができてる。前やったら広げることに不安があって、「こんなんお金になるんかな?」とか。今は気にせず、自分が本当に楽しいとおもったことがきっと正しいと信じれるようになってる。いろんなことにチャレンジして、やりたい方向に広げていってる。それをもとにして、自分が本当にやりたいことをちょっとずつみつけているところです。

安達:家具を作っているときの気持ちを聞かせてください。

光さん:家具を作ってるときの気持ちっていうのは、作り出した時と変わってなくて、自分であったり、人であったりが「心地いいなあ」と思えるものを作るぞって。それは変わってないんですよ。小物も作るんですよ、収入の為に。でもそれは、はっきりいって私にとって楽しい作業ではないんですよ。家具はそれがないんですよ。楽しいんですよ。目的が違うんですよね。その意識(収入)が出ないですよ、家具については。それは、家具が好きだから。自分が好きか嫌いかの問題なんですね。(笑)

安達:小物って、どういうものですか?

光さん:世間でいうとクラフトという位置づけになるもの。帽子掛けや写真立てとか。

安達:では、どんなものが家具なんですか?

光さん:空間を大きく左右するものが家具なんです。例えば、引っ越しするときに持って行くか行かないかをすごく悩むものが家具だと思っているんですよ。

第1回:工房彩家 古田光さん | 心財育成株式会社

安達:家具作りに携わろうと思ったのは、どうしてですか?

光さん:家具って存在感があるものだから、何かが大きく宿ってそうな気がするんです。人の生活において家具の存在が、主に目に見えるものとしてあると思う。もともと、自分の居場所であったり、人が集まる場所であったり、といった空間や空気感が好きで、建築という大きなものに目を向けていたんですけど、一人暮らしを始めたりするころから、空間の中の家具という存在がとても大きなものと感じてくるようになったかな。以前の仕事では戸建ての設計にも関わることがあって、自分以外の人が暮らす空間に携わるきっかけになったんです。

安達:独立するに至ったきっかけは、何だったのですか?

光さん:転勤がきっかけだったんです。それまでは、自分の家の家具を触ったりしていたんですが。

安達:へえ~!自分の家具を?いつから作るのが好きだったんですか?

光さん:生まれた時から、創ることと絵を描くことは好きだったんですよ。あと、父の影響ですね。父は機械科の教師だったんですけど、設計士だった祖父の設計した自分の家を、大工さんと一緒に創ったり。家の中にカンナが転がってたり、絵の具を洗うのは黄色いバケツでなく父の手作りの空きカンバケツだったし、画板がベニヤだったり。「うちの家は貧乏なんか?」とも思ってたけど聞けなかったんです。(笑)母も何かしら作ってることが多くて、洋裁、和裁、手芸、編み物、料理も。父も負けじと、母の横で靴下を編んでたりとか。

安達:え~!!お父さんも編み物してたんですか!?

光さん:モノづくりのなかで育ったんです。父が退職後に本格的に木工を始めたんです。それを見て私も負けじと、やったろかと思うようになりました。両親が引っ越しするのに、木工の機械を処分しようかと悩んでるとき、私も転勤で悩んでいて、タイミングが合ったんですね。「ものづくりは趣味」だったんですが、仕事にしたい!とその時思ってしまったんです。

安達:どうしてですか?

光さん:なんでかな?(笑)

第1回:工房彩家 古田光さん | 心財育成株式会社

安達:だから、受講にこられたんでしょうね。(笑)無意識はわかってたんでしょうね。でも意識には上がってなかった。好きだとか、環境があるということの感覚を信じたんでしょうね。タイミングだったんですね。

林静香(以下、林):タイミングを逃がす人っているよね~。それを手に入れてから考えたらいいものを、先の不安を考えてるうちにタイミング逃したり。そして行動しなかったことを後悔して言い訳したりして。

安達:光さんは実現するために、自分が感じたことを素直に聞いて行動してますよね?光さんは、なんか自信みたいなものがあったんですか?

光さん:そうです!私は自分が選ぶものに間違いはないという、なんかわからん自信があるんですよ。結婚式の時に主人が「なんで奥さんあんなに自信満々なん?」と後輩に言われたそうですよ。恋愛に関しては、あんまり自信なかったんですけどね。(失笑)

安達:なんで、そう見えたんでしょうね。(笑)

光さん:自分が何かしようとすると誰かが現れるんです。私はその人たちを、女神と呼んでるんですよ。その女神が私の背中を押してくれるんです。あ、私、独立するとき主人には一言も相談しなかったんですよ。「ごめんなさい」この場を借りて謝っときます。

安達・林:えーここで?(笑)

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光さん:独立した後で人に言われて気づいたんです。そういえば、主人には相談してなかったなって。(笑)いろんなことを選択するうえで、勝手に女神も選択しています。静ちゃん(林)に会ったのも、偶然でないと思うんですよ。偶然でなく必然にしちゃうんです、私は。

:女神をつかむにもつかめない人がいるよね。アウトプット会に来てくれたやん。普段告知なんてしないのに、その朝に初めて告知したら「行っていい?」と光さんが返事くれて、それが理念に繋がったんやもんね。

光さん:私も人のいうことを信じるときも信じないときもあるし。静ちゃんとの出会いは仕事始めて1年目くらいで、行くわって言うまで3年経ってる。でも、このタイミングやったんやろなって思う。会社員時代にも自己啓発の研修とか受けさせてもらってたけど、あんまり信じてなかった。けど、この人(林)のところやったら、いつか行くんやろうなと感じてた。

「何を目的にしたらいいのか、見えなくなっていました。」

安達:どうして、受講することにしたのですか?

光さん:そんなに好きでもない小物を売るのが嫌ってことがあって、経営計画の上で5年で売り上げがいくらとか考えていることもあって、でも、今の仕事の仕方でいくと採算が合わないという現実があって・・・。ずっと家具メインで受注生産するという営業の中で、ほんまこのままのスタイルでええんやろか?もっと転換しなあかんのちゃうか?いやなことでもやらなあかんのちゃうか?何を目的にしたらいいのか、見えなくなってた。自分を整理せないかんと思って、まずは吐き出して誰かに何かを聞いてもらいたい。でも、たんに友達に聞いてもらうんじゃなくてちゃんと整理できる人に聞いてもらいたいって思った。

安達:アウトプット会は、どのような印象でしたか?

光さん:参加者の話も聞いて、あ~ち(安達)とも出会って、この雰囲気なら私整理していけるわと思えた。そういう信頼が、何かできた気がします。

安達:どのタイミングで、理念に来ようと思ったの?

光さん:「理念、理念」と二人がいうので。理念という言葉はピンときてなかったけど、二人を信頼していたので「理念かぁ」と思った。(笑)

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安達:受講してみて、どうでしたか?

光さん:朝から行くとき私これからほんま何されるんやろ?煮たり焼いたりされんのかなと思って行ったら、案の定、煮たり焼いたりされて熱出そうになって。はてな?もいっぱい飛んで。

安達:ウリと価値を引き出したときは、どうでしたか?

光さん:難しかった。それを悩んでいたから。

:さっと書いてたやん。(笑)

光さん:そこで悩んでた時期やったから。でも、文章のポイントポイントでは変わらない部分があって・・・。

:理想のお客様のことも訊けば、既存のお客様のことも訊くし、一致しているかどうかもわかるもんね。

光さん:あの質問は、またやってもいいかなと思う。

安達:理念を出すときは、どうでしたか?

光さん:一日の後半にきて、もう無意識やった。あんだけ長い間付き合ってもらうことって、ないもんね。

安達:あ~ちが印象深かったのは、光さんのこの言葉やったわ。「物への愛着、百均で買った物でも使い切られて捨てられるんやったらいいけど、使われずに捨てられたり、置きざられたりすることが悲しいねん。」ていう言葉。

光さん:愛が根付いてないと嫌やねん、という想いがポッとでてきた。出てきたらびっくりするよね!

安達・林:本人が、一番びっくりするよね。(笑)

光さん:めっちゃこだわってた!というかすっきりしたというか、今までの私の過去がずっと見えたもんね。それで動いてたわ。物だけでなく、人付き合いに関しても。愛着っていうものがあるからそうしてきてんなと、なんかバーッと見えた。びっくりや。無意識すごいなと思うわ。意識とつながる瞬間の感じが面白い。

安達:しかも「愛着」の横に♡(ハート)がついたもんね。

「自分の感性を信じる確信がでてきました。」

安達:受講後は、どう変わりましたか?

光さん:自分の価値観にある「楽しい」と思うこと信じて行こう!そうすることで、自分に取り入れるものが見えてくる、見つけられるという確信がでてきた。もうちょっというと、それが仕事になってその仕事が実行できて、自分がええ仕事したなと思うときっと体感もついてくるんだろうなと思う。儲けるってことへの感覚は楽になってる。努力するべき点は見えるし、楽しいだけでなく、この部分に対しては苦労するやろなってわかるし。

安達:覚悟が決まる感じですね。

「家具屋というプライドで、空間を生まれ変わらせていきたいと思います。」

安達:この先、どうしていきたいですか?

光さん:今、村の古民家再生や古い建物をリノベーションしたりすることに関わらせてもらってるんやけど。周りには、古くて使いものにならへんけど良きものが埋もれてる。それを生まれ変わらしていきたい!家具屋というプライドで家具を通じて空間を生まれ変わらしていきたい。そう思う。

安達:「かっこいい!」って書いておこう。(笑)

光さん:また面白いことに、「愛着」を意識してから、それにつながるような期会にボンボンと出会えて!プラス、「モノに愛着を持って欲しい」って想いをかたちにできる仕事も向こうからやって来きてくれたし。自分で主催するでもなく、プラッといける場所を与えてもらえたりして。また女神が誘導してくれて、背中を押してくれてるわって感じ。(笑)

:参加させてもらった光さんのワークショップは「愛着」を感じるものだったよ。自分が作ったものは、絶対に人にはあげへんと思ったもん。(笑)

光さん:「静ちゃん “愛着” が “執着” になってない?」って笑っててん。作るという作業はそのものへの愛が体に染みつく。それがいいんじゃないかなと思う。愛着が湧くんじゃないかなと思います。

と、笑顔が素敵な光さんは時折見せる職人としての表情から「愛着」という想いがとても伝わってきました。これからの光さんが、さらに楽しみです。古田光さん、ありがとうございました。

《工房彩家 ~あかりや~》

第1回:工房彩家 古田光さん | 心財育成株式会社

インタビュアー:安達美由紀・撮影:林静香

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