第5回インタビュー : 長田会計事務所 遠藤悦代さん

「会計事務所で、税務会計とスタッフの育成と会議やミーティングを企画しています。」

安達美由紀(以下、安達):今の仕事の現状について、お聞かせください。

遠藤悦代さん(以下、遠藤さん):会計事務所で、基本は税務会計とスタッフの育成、研修の企画や広報、他には会議やミーティングをいかに面白くやるかを考えてやってみたりしています。

安達:スタッフの育成は、どのようにしているのですか?

遠藤さん:インターンの大学生と入って6か月の人がいるので、OJTと研修、小グループ活動で。小グループ活動は3~4人くらいのチームになって、「このチームは何をやるチームなのか?」「何のためにこのチームが存在しているのか?」という抽象的で本質的なことをしっかりと決めてから具体的なことを始めよう、まずそこを皆で共有しましょうということをしっかりやってます。

安達:やってて、気づきはありますか?

遠藤さん:中々、本質のところを掴むのは訓練がいるんだなぁということを思ったりすることが増えてきた。まわりをうろうろしていて、あ~ち(安達美由紀)に「もう出てるのに~!」と言われる感じはやっとわかった。(笑)そういうものなんだなぁ~と思って面白い。(笑)

安達:その子たちは幸せやね。

遠藤さん:そうやね。そんなんする機会が一生ない子もいるやろし。インターンを受け入れるときに、何のために受け入れてどういうふうになればいいなぁと思ったかというと、会計の業界は高齢化が進んでいて、若い人には魅力的じゃないねんなぁと感じていて、将来的に会計の業界に入りたいという子が増えるといいなぁというのが一つ。あと楽しく働いて欲しい、そういう人が増えるといいなぁがもう一つ。「働くことは楽しいよ!」っていうことが伝わるといいなぁと。労働力じゃないからね。労働力ということで考えてしまうと何か違うなと。研修とかミーティングとか、直接業務に関係ないことでもするのは、必要な知識を持って、無防備にさらされるのではなくて、なんか変やなという感性を持って、いろんなことを知って、幅を持った状態で社会に出ていってほしい。幅を持たせてあげたいなと。

安達:あったかいね。

遠藤さん:そういうことができるのは、私らも幸せやなぁと思って。

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安達:会議を面白くするっていうのは?

遠藤さん:月始めミーティングを月に1回してるんやけど、報告会だったので、「もう少し対話をしましょう!」ということで。対話の中から何かが生まれてくるし、思っていることを言うことに慣れていくことも大切なので、ひとつのテーマについてみんなでフリーに話すことをちょっとずつ増やしています。

安達:対話することで、何か変わりましたか?

遠藤さん:新入社員の2人はよく話すようになった。思ったことや踏み込んだことも話すようになった。意見もアイデアも話すようになった。一人は事務所新聞の編集長を引き受けてくれて、自分で記事書いて、レイアウトして一生懸命。お客様にインタビューに行ったり、勉強会のレポートだったり。ミーティングで話し合って、「皆の個性を出していきましょう」ということが今年のテーマになったので、長田会計事務所の誰々さんということがはっきりわかるように、一人ずつのスタッフの存在をお客様に対して出していこうとやってくれています。事務所の様子とかしか載ってないけど。(笑)

安達:いいね。楽しそうやね。

遠藤さん:楽しいね。アイデアが出るから毎号紙面が変わるという。以前なら「こうしていいですか?」って聞いてきたけど、今は自分で決めてやってくれます。それって凄い進歩やなと思う。

安達:自分で決めるって、凄いね。

遠藤さん:今はそういうことをやってくれる子たちがいるので、どんどん進んじゃう。

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安達:遠藤さんの理念は、何ですか?

遠藤さん:『豊かに今を生きる』

安達:シンプルになってんね。(笑)

遠藤さん:そう!遠くて長い道のりを超えて。(笑)山とか谷とか。(笑)

「自分で作ったらどんな感じなんだろうという好奇心からでした。」

安達:理念を作ろうと思ったきっかけは?

遠藤さん:最初は面白そうやなぁと思ったから。前の事務所で事業計画の仕事をしていて、その中で理念を作るんだけど、言葉をいっぱい出してそれっぽく繋げて作ってしまってた。30分くらいで作る違和感はあったから、自分で作ったらどんな感じなんやろという好奇心でやってみようと思った。正しくは理念とは何なのかもわかってなかったし、理念て言葉ありますよねっていう感じやった。

安達:理念をつくる手伝いをしてたの?

遠藤さん:理念を30分でつくるというプロセスがあって、ホワイトボードにそれらしい言葉を出して、これとこれを繋げてそれっぽいのが出来あがる。15分でできる人もいるし、3時間くらいかかる人もいるし。理念て何やろなって感じ。

安達:何のために作る必要があったの?

遠藤さん:事業計画には理念がいるから。銀行に出すのにいるから。(笑)おまけみたいな。(笑)すごく簡単に作れるんですよね。(笑)今考えたら恐ろしい話やけど。(笑)それが深く考えるきっかけになったらいいけど。中小企業は理念を持ってないところが多いから、こんなんでいいのかな?って感じで。本当の意味での理念があるところは、どんだけあるんやろと思う。社長の心の中にはあるんやろうけど、話し出すと長くなるやろし、聞いてくれる人もいないし、明文化することも知らんやろし、時間もないやろし。よその会社の理念をみて、理念てこんなもんか~ということになって、言葉を繋いで作ったりとか。

「人の目に触れるのはわずかだけれど、たくさんの考えや言葉がまとまっていったという感じです。」

安達:作ってみて、どうでした?

遠藤さん:えっ!何!これ大変やなと思った。(笑)こんだけせんと出えへんねやと思った。私何をしてたんかなとも思った。(笑)もう考えすぎて死にそうやなと思った。なんかあるのにモヤモヤして出ないっていうのが。こんなに言葉が出えへんねんなぁと思って。私の中では散らかした感じでそこからまとめていった。こういうニュアンスなんやなぁと、しっかり考えた。そう!ジャムみたい。ジャムを作るときはたくさんの材料があるんやけど、できたときは1瓶に入る。その過程で考えたことは忘れないので、人の目に触れるのはわずかやけど、考えたことやたくさんの言葉がまとまっている感じ。

安達:会計事務所は、どこでも理念をつくる手伝いをしてるの?

遠藤さん:何かしらの手伝いは、してると思う。けど、ほとんどは数字やから。でも、最近増えてきたよ。若い税理士さんとかコンサルタントとか。

安達:それって、差別化なのかな?

遠藤さん:両面あって、会計事務所にそこまで求めてない人もいるし、そこまでやってくれるんやと思う人もいるし。事務屋さんと思っている人も多いし。

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「悩んだり迷うことがなくなり、自分の関わる場所がはっきりしました。」

安達:受講後は、どうでしたか?どう変わりましたか?

遠藤さん:3年くらいかかって、ちょっとまとまるとあ~ちに言いに来て、そしてまとまった。それからは、悩まなくなった。わかりやすい言葉なので決断、判断するときにすごいわかりやすい。迷うことがなくなった。そこは私はあまり気にならないからと、ものごとに関わる場所がはっきりした。

安達:シンプルになったよね。言っていることは一緒やけど。

遠藤さん:線引きがはっきりした。ほかの人のことまで気にならなくなった。感情タイプやからか、人のことが気になって腹立って、共依存やね。(笑)この人なんで助けてあげへんねやろと思ってたことも、「これは私の問題じゃない」と思えるようになった。

「自分で自分がちょうどいいと感じる人が増えるようなことが、できたらいいなと思います。」

安達:この先どうしていきたいですか?

遠藤さん:「豊かであるってどういうことやろ?」って思うことは時々あって、最近は「ちょうどいい」っていう感覚がいろんなところで起こることがいいなぁと思ってる。「自分にちょうどいい」って感じる人が増えるようなことができたらいいなと思って。インターンの子たちも就職活動で背伸びをしなあかんときで、頑張ってやってるけど、行った先で自分はここがちょうどいいなと思えて、自分で「幸せやな」と思う力を持ってくれたらいいなぁと思う。縁のある人には、私が持っているもので渡せるものがいっぱいあるので、渡してあげることを続けていきたい。自分が持っているものを増やしていったら、渡してあげれるものも増えるから、学ぶことはやめない。

安達:いろんな事、やってるよね。

遠藤さん:「今いる場所をいかに自分にちょうどよくするか」をやっている感じ。ただ、自分だけではなくて、そこにいる誰もが「自分にちょうどいいな」を探ってくれたらいいなぁと思う。そのために、いろんなところに行って、いろんな人と知り合って、いろんなことを教えてもらっています。他の会社の考え方を「あの会社はこんなこともしてるんだって」と伝えたり。こんなことをやっていると、自然にいろんなものが受け取れるかなと思って。

安達:しずちゃん(林静香)との出会いは?

(しずちゃんとは、あ~ちの事務所でしずちゃん主催のセミナーで出会った)

遠藤さん:私は、最初に「この人とは仲良くなる!」と感じるので、その一瞬の自分の感覚を信じる。しずちゃんにもそう思った。やっぱり「人」やねんなあと思う。しずちゃんもあ~ちもそうやけど、一回は自分が好きやなと思う人には乗ってみようと思う。何をするかより、誰とするかの方が重要やから。仕事でも。この人に興味がある!って感じ。見せてほしいなっていう感覚。そして面白いものを持ってたら「やったぁ!」と思う。

林静香:えっちゃんも面白い。人のことを面白いとかいうけど、大概えっちゃんの方が面白い。(笑)

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「理念を持つと、生きやすくなると伝えたいです。」

安達:これから人生理念セミナーを受講する人に、メッセージをお願いします。

遠藤さん:別に個人の理念は持っていても持っていなくても生きていくのに何ら不自由はない。でも、「理念を持つと生きやすくなるよ」と伝えたい。出てくるまでにいろいろ自分を振りかえったり、価値観を触ったり、自分をすごく見るので、そのプロセスが大事やと思う。その結果出てきたものが、自分が何かを判断するときの、会社を選ぶときとか、結婚するときとか、友達を選ぶときとか、軸になる。「私はこういうものです」というのがはっきりするので、「あなたはどんな人ですか?」ってよく見るようになる。私が大切にしているものと、どれだけ重なっているかがわかるようになる。会社がすることが決まっているならば、自分がやりたいこと、大切にしているものとどれだけ重なっているかがはっきりわかって、働きやすくなる。経営者も経営者個人としての理念を出したらいいのにと思う。会社は会社。経営者も一人の人やから。

安達:何か伝えたいことありますか?

遠藤さん:私がいる場所が、パソコンしている人や、話している人、本を読んでいる人、皆がやりたいことをやって、思っていることを言える場所、自分で居れる場所になればいいと思う。長い机みたいな。

安達:居場所って大事やね。

遠藤さん:ほんまにそう思う。

 理念のとおり『豊かに今を生きる』を実践し、自分の「ちょうどいい」居場所をつくることができる軸を持った遠藤さんの表情はとても穏やかで、笑いが耐えないインタビューでした。遠藤悦代さん、ありがとうございました。

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インタビュアー:安達美由紀・撮影:林静香

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